「覆すことが出来ない罪を背負った時、人はどうするのだろう」
「抗うことが出来る人間が一体どのくらいいるのだろう?」
映画「正体」は、冤罪を着せられた男の逃亡劇を通して、「人を信じる事」と「決めつけの恐ろしさ」を描いた作品だ。
この記事では、「正体」のあらすじと見どころを出来るだけネタバレなしで、わかりやすく解説していこうと思う。
あらすじとテーマ
日本中を震撼させた殺人事件の容疑者で、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走し、
逃亡生活が始まり一年が経とうとしていた。
警察の包囲網が狭まる中、逃亡先で人を助けていく鏑木。真実は一体どこにあるのだろうか?
2024年制作。
映画「正体」の原作小説は、染井為人(そめい ためひと)の同名小説。
実際の逃亡事件から着想を得ているが、特定の事件をモデルにした実話ではなく、
あくまでフィクションとして描かれている。
核となっているテーマは、
「冤罪の理不尽さ」や「信じるとは何か」
映画との違いを原作で確かめてみてもいいと思う。
鏑木の性格
逃亡を始めた鏑木は、顔を隠しながら様々な仕事に就いていく。
肉体労働や雑誌のライターや介護士など、そのバリエーションは幅広い。
「逃亡犯」の為、人と関わることを避けてはいるが、人が嫌いな人ではない。
逃げていく過程で裏切られた事もあるが、それでも根底では”人を信じている”人なのだと思う。
だからこそ、彼を追う警察が見ている「逃亡犯・鏑木」と、逃亡先で出会った人々が見ている
「鏑木慶一」という人物像には、大きな食い違いが生まれる。
映画「正体」の見どころ
横浜流星の演技
逃亡生活をしている鏑木は、世間ずれをしていない。
普通の事をとても大切にし、楽しそうに謳歌する。
18歳の頃から死刑囚として収監されている鏑木は、
世間一般の若者よりもピュアな印象を受ける。
そんな彼に接していくうちに惹かれていく人々。
その過程を描く為には、横浜流星の演技力は必要不可欠だろう。
鏑木を信じた安藤沙耶香の存在
逃亡生活の中で、鏑木は様々な人と知り合う。
その中でも彼にとって一番幸運だった出会いは、安藤沙耶香(吉岡里帆)との出会いだろう。
仕事を通して知り合った沙耶香だが、泊まる場所を提供してくれ、安らぎをくれた。
鏑木を逃亡犯だと気づいてからも、変わることなく信じてくれた。
そこに葛藤はあっただろう。
ニュースで大々的に”殺人犯だ”と報道されているのだから。
それでも彼女は自分が見てきた”鏑木”を信じることにした。
勇敢な女性だ。
鏑木が彼女の元から更に逃亡した後も、彼女は支援を続ける。
彼の汚名を晴らすべく、活動を続けるのだ。
又貫刑事(山田孝之)が果たした役割
この作品におけるキーパーソンは、又貫刑事(山田孝之)ではないだろうか?
鏑木の取調べを担当し、「鏑木は犯人ではないのではないだろうか?」という疑問を抱いている。
だが、警察組織上層部の圧力に屈し、鏑木を”殺人犯”として起訴する。
脱走した鏑木を追い続けるのだが、常に迷いが見える。
鏑木は訴え続ける。
「俺はやっていない」
訴え続ける彼の言葉は、小骨となって又貫刑事に引っ掛かる。
新事実が発見されたこともあり、一度蓋をした事件を又貫刑事は再び調べ始める。
「正体」が問いかける”信じる事”の難しさ
自分の目の前にいる人が、どんなにいい人に見えたとしても、先入観で歪められる事は多い。
人はどうしても先入観に影響されてしまう。
”殺人者”だと植え付けられた情報を覆すのは難しい。
それでも”信じる”と世間に声を上げることは非常に勇気が必要なことだ。
鏑木が諦めず「自分は無実だ」と訴え続け、誠実に生き続けたことで、彼を信じてくれる人は増えていった。
だが、現実にここまで挫けず、まっすぐでいることは難しいのではないだろうか?


映画「正体」はこんな人におすすめ
- 社会派サスペンスが好き
- 冤罪を扱った作品が好き
- 人間ドラマが好き
まとめ
「正体」は犯人探しの映画ではなく、”人を信じるとは何か”を問いかける作品だった。
ラスト、又貫刑事の判断に鏑木の運命は左右される事となる。
その結末がどうだったのか?
気になる方はぜひこの作品を観て欲しい。
鏑木を信じる人々の姿を見ながら、自分なら同じ選択が出来るだろうかと考えさせられた。
補足情報として、「正体」はドラマ版もある。
そちらは全4話の為、細部も細かく表現されているので、
見比べてみても面白いのではないだろうか。
「正体」はNetflixで観ることが出来ます。👇


