「D・Pというドラマが気になっている。」
「軍隊を舞台にした作品と聞いているけれど、暗くない?」
「なぜ、これほど高い評価を受けているの?」
「軍隊」という特殊な世界を舞台にしながら、理不尽な環境に追い詰められた人間を描く。
それが『D.P.―脱走兵追跡官―』である。
単なる軍隊ドラマではなく、人が極限まで追い詰められた時どうなるのかを描く社会派ドラマである。
私も『えげつないいじめ』を題材にしたドラマはあまり得意ではない。
前評判では、”暗くて重い作品”という声も多く聞かれた。
実際には終始重いだけの話だけではなくバディドラマとしても楽しめ、
韓国の兵役が抱える問題や若者たちの苦悩をリアルに映し出した社会派ドラマだ。
軍務を離脱した脱走兵を追う任務を描き、派手なアクションだけでなく、
人間ドラマとしても非常に完成度が高い作品となっている。

『DPー脱走兵追跡官ー』あらすじ
兵役義務のある韓国。
アン・ジュノ(チョン・へイン)は軍に入隊し、日々厳しい訓練を受けていた。
ある日、彼は脱走兵を追跡・確保する専門部隊「DP(Deserter Pursuit)」に配属される。
先輩のハン・ホヨル(ク・ギョファン)と共に任務を行う中で、ジュノは脱走兵の「軍を逃げだした理由」と
「軍内部の理不尽な現実」に直面していく。
「DPー脱走兵追跡官―」は2021年シーズン1,2023年シーズン2・各6話ずつで制作されている。Netflixで配信中。
『D・Pー脱走兵追跡官ー』はグロい?いじめ描写はきつい?
- 暴力描写あり
- 精神的には重め
- グロさはそこまでではない。
- いじめ描写はかなり克明に描かれているので苦手な方は注意が必要。
以上の点が注意点となっている。
だが、ドラマの内容は極限状態の人の闇を鋭く抉り、その中で自分が何を思うのか?と問うてくる素晴らしい作品となっている。
見どころ① 脱走兵を追う中で見える人生模様
本作は脱走兵を捕まえる物語でありながら、単なる追跡劇ではない。
登場する脱走兵たちはそれぞれ異なる事情を抱えている。
暴力、いじめ、家庭環境、将来への不安など、誰もが簡単に切り捨てられない背景を持っているのだ。
そのため、視聴者は「逃げた方が悪い」と単純に考えることができなくなる。
一話ごとに様々な人生が描かれ、深く考えさせられる作品となっている。
その中でも数少ない救いとなるのが4話のホ・チド兵長のエピソードだった。
認知症の祖母を入院させる為のお金を稼ぐための脱走。
観終わる頃には自分の価値観も変わっているかもしれない。
見どころ② 軍隊という閉鎖空間の恐ろしさ
『DPー脱走兵追跡官ー』最大の特徴は軍隊内部の理不尽さを容赦なく描いている点だ。
先輩後輩の厳しい上下関係。
暴力やいじめ。
見て見ぬふりをする上官たち。
閉鎖された環境だからこそ逃げ場がなく、問題がより深刻化していく。
本作を観ていると「なぜ脱走したのか」ではなく、
「なぜここまで追い詰められたのか」を考えるようになるだろう。
特に印象的なエピソードがジュノの先任のチョ・ソクポンのエピソード。
チョ・ソクポンのエピソードはシーズン1の核とも言えるエピソードで、
軍隊の闇を深く描いたストーリーだ。
悪いのは脱走した方なのだろうか?
いじめをしたほうはのうのうと暮らしているのに?
理不尽と現実の狭間で揺れる日々の中で正気を保つのは難しい。
同じように軍隊を題材としたドラマ「新兵」について、こちらでも詳しく書いています。👇

見どころ③ チョン・ヘインとク・ギョファンの名コンビ
実は私は軍隊ものの作品を観るのは苦手だった。
陰湿ないじめや暴力、モラハラとしか思えない年功序列制度などが観ていて気分が重くなるからだ。
だが、近年「そうでもないかも?」と思わせてくれる作品も増えてきている。
重いテーマを扱う本作だが、ジュノとホヨルの掛け合いは非常に魅力的だ。
真面目で不器用なジュノ。
自由奔放で飄々としたホヨル。
正反対の二人だからこそ生まれる空気感が心地よい。
シリアスな展開の中でも、二人のやり取りが良い息抜きになっており、
徐々に深まっていくバディ感が観る者の心を熱くさせる。
重い物語だからこそ、二人の存在に何度も救われた。
なぜ『DPー脱走兵追跡官ー』はここまで評価されたのか?
『DPー脱走兵追跡官ー』が多くの支持を集めた理由は、単に軍隊の問題を告発したからではない。
本作が描いているのは「人はどこまで追い詰められると逃げるのか」という普遍的なテーマである。
学校、会社、家庭。
私たちの周囲にも理不尽な環境は存在する。
だからこそ軍隊経験の有無に関係なく、多くの人の心に刺さったのだろう。
また本作は単純な勧善懲悪では終わらない。
加害者にも被害者にも背景があり、簡単に答えを出せない問題が描かれている。
そのリアルさこそが本作最大の魅力だ。
主要キャスト
アン・ジュノ役:チョン・ヘイン
甘いマスクのチョン・へインは1988年4月1日生まれ。
「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」の激甘年下彼氏役で人気に火が付いた。
ラブストーリーでの演技が特に好評なチョン・へインの主な作品は「雪降花(スノードロップ)」「隣のMr.パーフェクト」「スタートアップ:夢の扉」など。
また、「D・P」を観た方に特におすすめなのは「刑務所のルールブック」。軍隊の中で起こった事件で収監され傷つきながらも立ち直っていくユ大尉を好演している。
ハン・ホヨル役:ク・ギョファン
ク・ギョファンは1982年12月14日生まれ。
今作で一気に知名度を上げたのがク・ギョファンだ。
出演作は「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」や「新感染半島 ファイナル・ステージ」「「誰だって無価値な自分と闘っている」「キル・ボクスン」など。
多彩な役柄を演じており、カメレオン俳優の名にふさわしい。
パク・ボムグ役:キム・ソンギュン
キム・ソンギュンは1980年7月5日生まれ。
悪役からお人よしまで様々なキャラを演じ切る名バイプレーヤー。
今作では、部下を思う上官を好演。
「応答せよ」シリーズや「熱血司祭」「離婚弁護士シン・ソンハン」「ムービング」など多くの作品に出演。
「応答せよ」シリーズや「離婚弁護士シン・ソンハン」などで見せるコメディエンヌぶりを観るとその演技のふり幅に魅せられる。
イム・ジソプ役:ソン・ソック
ソン・ソックは1983年2月7日生まれ。
異色の経歴を持つソン・ソックは俳優デビューは遅く34歳。
だが、そこから主演級に上り詰めるまでのスピードは速かった。
「私の解放日誌」で演じた酒に溺れるミステリアスな男性で人気を博し、「犯罪都市 THE ROUND UP」で演じる冷酷な犯罪者、「殺人者のパラドックス」「カジノ」で演じる刑事役など役の振り幅も広い。
男らしい役を演じている事が多いイメージのソン・ソックだが「君は天国でも美しい」ではロマンチックなソン・ソックを観ることができる。
チョン・へインの作品紹介で触れた「刑務所のルールブック」についてこちらでも書いています。👇

まとめ
『DPー脱走兵追跡官ー』は脱走兵を追う物語でありながら、軍隊という組織の闇や人間の弱さを描いた社会派ドラマである。
重いテーマを扱いながらもテンポが良く、最後まで一気見したくなる完成度の高さが魅力だ。
『弱いヒーロー』や『サラ・キムという女』のように、理不尽な環境の中で苦しむ人々を描いた作品が好きな方には特におすすめ。
韓国ドラマの中でも屈指の名作なので、まだ観ていない方はぜひ一度チェックしてみてほしい。
観終わった後、「本当に逃げ出したのは誰だったのか?」を考えさせられるはずだ。
追い詰められた立場で人はどう闘うのか?「弱いヒーロ―」や「サラ・キムという女」についてはこちらの記事でも書いています。👇




